ワタママスマイルとは
このたびの東日本大震災は東北の沿岸部を中心に甚大な被害をもたらしました。その中でも最も被害の大きな町が石巻市です。石巻市では死者行方不明者を合わせて4,000人近い方々が犠牲となりました。この石巻市の中でも特に津波被害の大きな地域が「渡波(わたのは)地区」です。今回の震災で地区内の98%の住居が何らかの被害を受けており、特に、1/3の家屋(約2,200棟)は全壊となりました。震災直後は約2,000名近くの方々が渡波小学校へ避難し、学校内は避難者でいっぱいでした。その後、渡波小学校は避難所として利用されていましたが、そこで約7ヶ月間、自らも被災し渡波小学校でずっと炊き出しを続けてきたのが地元渡波のお母さんたちです。この渡波地区で、自ら被災しながらも地元の被災者のために尽力し、いち早く地域の 復興と家族や子供のために懸命にがんばっているお母さん(ママ)を応援するためにワタママプロジェクトを立ち上げました。そして、そのお母さんたちを中心に「ワタママスマイル」を立ち上げ2011年11月にワタママ食堂をオープンいたしました。 渡波(ワタノハ)のママ(ワタママ)さんは、とっても笑顔が素敵な皆さんです。そんな震災にもめげないワタノハの お母さん(ワタママ)の笑顔がどんどん増えていくことを願って、「ワタママスマイル」と名付けました。
代表あいさつ
震災後、石巻市渡波地区には仮設住宅が12か所に点在し、約550世帯、約1,200人が仮設での生活を余儀なくされていました。また、いわゆるみなし仮設住宅(借り上げ住宅)も仮設住宅とほぼ同数あり、同数の方々がみなし仮設での生活をされていました。そのような方々のために内陸に位置する新渡波エリアを中心に渡波地区には復興公営住宅が580戸建設され1500人が居住する計画で、大きく町が変貌しています。一方、沿岸エリアの松原町、長浜町、そしてワタママ食堂がある幸町はいまだに震災直後の様子を残し、ほとんど復興が進んでいません。同じ渡波地区でもこのように二極化が進んでいます。
震災から5年を迎え、渡波地区は復興が進んでいる地域と遅れている地域など様々で、まだまだ多くの課題が残っている状況です。私たちは「ワタママスマイル」として、これからも渡波地区で職を失った女性の就労支援を行うと共に、近隣の仮設住宅やみなし仮設住宅などに住む高齢者の食の支援や見守り支援、地域づくりのための支援を中心に活動してきています。
菅野 芳春
Yoshiharu suganoProfile
菅野芳春(すがのよしはる)山形県生まれ。大手精密機器メーカーで約20年間エンジニアとして勤務し、分析・計測装置の開発や設計、数々の商品開発プロジェクトに従事し、プロジェクトリーダーを務める。2005年、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊としてガーナ共和国へ。理数科教師として活動を行う。2006年、現地の村(エイナブリム村)の副村長(サブチーフ)に任命。帰国後、ガーナ支援のための国際NGO「ガーナ支援交流協会(GAFA)」を設立し、ガーナ支援活動を始める。2011年3月11日の東日本大震災直後、青年海外協力隊OBOG有志と共に震災支援のための組織「協力隊OV有志による震災支援の会」を立ち上げ、震災支援活動を開始。同年4月に「石巻市渡波小学校避難所」にボランティアとして支援活動に入る。5月より被災者の自立支援活動として避難所内での炊き出しで雇用を生み出す仕組み「被災者自立支援型雇用システム(CFW)」を全国で初めて実施し、いち早い自立へ導くことに貢献。6月より避難所内に「渡波笑会」を設立し、オリジナルブランドを立ち上げ商品開発や販売を行い、被災者支援へ充てる活動を実施。これより先はワタママスマイル沿革参照。
受賞歴:2014年、賀川賞(個人)
団体理念
私たちは東日本大震災で被災した女性のために雇用の場をつくると共に、その就労を支援し、女性が経済的に自立した生活を送れるようにサポートしていきます。また、被災した地域に住む高齢者への食の支援や孤立防止に努め、さらには女性や子供、高齢者が住みやすい地域づくりや地域再生のための活動を行います。このような活動を通して、女性が元気で生き活きとして働ける社会や食を通して人と人がつながり、互いに助け合い、笑顔が溢れる社会の実現を目指していきます。
当団体の活動を通して、多くの市民や地域住民の方々、そして地域課題や社会的課題を解決し、よりより社会の実現を目指していくことに貢献していきます。
沿革
東日本大震災発生
2011年3月11日午後2時46分に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴って発生した津波、およびその後の余震は東北地方に甚大な被害をもたらしました。
2011年3月ボランティア団体「NPOワタママスマイル」発足
避難所閉所と同時に炊き出しを一緒に行っていたお母さんたちと一緒に「ワタママスマイル」(任意団体)を設立。
2011年10月ワタママ食堂開店
被災したラーメン店を借り、職を失った女性の就労支援と仮設住宅等の高齢者を中心に食の支援や見守り支援を実施。
2011年11月ワタママ食堂閉店
建物の解体に伴いワタママ食堂一時閉店。
2012年4月「一般社団法人ワタママスマイル」設立
ワタママ食堂を石巻市幸町に再建し、弁当の配食と見守り支援活動を再開。
2014年4月ワタママ食堂ランチ提供開始
これまでお弁当販売のみだったワタママ食堂が店内飲食可能に。
2015年12月「石巻市渡波沿岸地域まちづくり協議会」立ち上げ
渡波沿岸地域の復興と新しいまちづくりの活動を開始。
2016年2月